大桑村
有限会社細田建築
有限会社細田建築 (大桑村)
大桑村 / 珈琲 刀・E邸 / 2人、猫1匹
古い町家を再生 宿場町の風情を今に伝える
中山道木曽十一宿のひとつ、野尻宿。古い街並みが残る街道で、ひと際目をひくのが「珈琲 刀」だ。かつて鍛冶屋だった町家をリノベーションした店は、江戸時代から残る4軒連なりの町家の一棟。黒々とした柱や梁、天井板は、鍛冶場や囲炉裏の煙で燻された名残だ。面格子や鎧張りを設えた外観は情緒たっぷりで、建物を貫く通り土間はノスタルジック。古にタイムスリップしたような感覚になる。
店を営むのは、バイク好きが昂じて移住したEさんご夫妻。「バイカーの聖地・信州で店を」と探し歩く中、長く空き家だったこの建物に出会った。傷みがあり、町家の面影も薄れていたが、「古さを活かした店を」と宿場町らしい併用住宅への改修を決定。地元の細田建築を頼った。「使えるものは残したい。」と要望を受けた細田社長はまず躯体の基本性能を整えるべく、耐震・断熱性を強化。水回りの床高を改めて下水道と接続し、屋根は垂木ごと掛け替えた。その上で、「店舗にはなるべく天然の木を」という思いにも応え、既存を補修しつつ新たな材をプラス。往年の姿が甦る併用住宅を完成させた。
オープンから5年、同店は今日も全国から集うバイカーで賑わっている。近々、隣に宿泊施設もオープンするのだとか。「バイカーはもちろん地元の人のホームベースになれば」。古さを愛で、人と人をつなぐご夫妻の想いを受け、街はますます活気づいていく。(ナガノの家リフォームリノベーション Vol.9掲載)
既存を活かして全体を整え、町家らしい往年の姿に。間口は5間(9.1m)で隣家と連なるつくりだが、屋根は別々。今回の改修で垂木を掛け替えて葺き替えた。かつての鍛冶場はバイクガレージに

大桑村
有限会社細田建築