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御代田町 / S邸 / 夫、妻
美意識を貫いた空間で、季節を愛おしむ日々
「ここから見える4本の桜は昔からあって、満開になるとお花見をしたものです」と在りし日を懐かしむSさん。18歳まで過ごしたご実家を建て替えた住まいは、どの部屋からでもその桜を望めるつくりだ。
計画がスタートしたのは3年前。「やりたいことを全部叶えよう」と、デザイン性が高く、自由設計が叶うトモノに依頼。以前のご実家は道路際に面していたが、閑静さを求めて建物は南奥へ、実家跡にはガレージを配した。特徴的なのは建物の形状。「コの字だと面積もコストもかさむし、I字型は面白みがない」と、落ち着いたのはくの字型。勾配天井のリビングやバーカウンター風のアイランドキッチン、ホテルライクなバスルームなど、ご夫妻の「やりたいこと」はほぼ盛り込まれている。樹々のざわめきや川のせせらぎを聞きながら、自然との一体感を満喫できるウッドデッキも、ここでしか味わえないとっておきのスペースだ。
本宅は鎌倉市だが、「海に近い鎌倉の家とは雰囲気が変わり、気分をリセットできるのがいい」と二拠点生活をエンジョイしている様子。オーダーしたデザイナーズ家具やオブジェ、アーティスティックな調度品も印象的だ。「本宅はどうしても生活感が出てしまうけれど、こちらに置いているのは好きなものだけ」と奥さま。美意識で彩られた非日常空間を、心から楽しんでいることがうかがえる。好きなものに囲まれながら、春は桜を愛で、夏は森のマイナスイオンでリラックス。思い出が詰まったこの場所で、新たなエピソードを紡いでいる。
(ナガノの家 Vol.23 2024年 秋・冬号掲載掲載)
チェリーのフローリングとレッドシダーの勾配天井という、木の上質な風合いが存分に感じられるLDKは、選りすぐりの家具がいっそう映える。コンセントは目立ちにくい床埋め込みで、LDKの中央で電化製品を使用する際も、コードに美観を邪魔される心配がない