長野市
池田建設株式会社
池田建設株式会社 (長野市)
長野市 / Y邸 / 夫、妻
生まれ育った長野への愛着が深く、千葉から毎週のように帰省しているYさんご夫妻。築50年に及ぶ奥さまの実家を大切に維持していたが、2年前、耐震性の不安から工事を計画することに。「住みやすく手を加えて、ここを拠点に千葉と行き来しながら暮らしたいと考えたんです。市役所に相談したら新築は固定資産税が大幅に上がることが分かったので、リフォームすることに決めました」と奥さま。設計は友人である計画工房シータの宮坂さん、施工は地元の実績が豊富な池田建設に依頼した。
かつて塗装の作業場や職人の宿泊所を兼ねていたという住まいは、延床面積66坪とふたり暮らしには広すぎるうえ、後で増築した2階の荷重が負担を与えていた。「老後を考えると階段の上り下りは難しい」という思いもあり、平屋にボリュームダウンしたうえで2棟の作業場も撤去。床面積を減らす“減築”を実行した。
外観はマットブラックの壁に片流れの屋根とモダンに刷新。いったん外壁を撤去して断熱材を足し、新しい外壁で覆う工法を採用しているため、室内も暖かく快適だ。
作業場の跡に生まれたのが、ガーデニングを楽しむ庭と家庭菜園。「自分の畑が夢だったんです。夏休みには遊びに来た孫に自家野菜を食べさせたり、“田舎のおじいちゃん、おばあちゃん”になれたら」とご主人が笑顔で語ってくれた。
元の1階は、中央の廊下を挟んで両側にキッチンと四つの和室が並ぶ間取り。南側には庭に面した広縁があったが、和室までは光が届きにくく昼間も照明をつけて過ごしていた。そのため「広くて明るいリビングがほしい」とひとつの和室の襖を撤去して広縁とL字につなげ、光が降り注ぐフローリング張りのモダンなリビングに一新。全面窓だった南側は、一部を耐力壁に変えて耐震性を高めつつ、サッシのサイズを大きめに変更して、光をふんだんに取り入れている。一方で軒の出を長くして夏の日射は適度に遮れるように。リビングにはムラなく暖まる半導体床暖房を敷設するなど、年間を通じて快適に過ごせる工夫がいっぱいだ。
隣に残した和室は、敷目板張り天井や無垢の柱や梁が落ち着いた和の表情を醸す。素材を活かしつつ経年の汚れをカバーするため、柱梁は柿渋でダークに塗装してモダンな表情に。襖を開ければリビングとつながり、閉じれば空間が独立するフレキシブルなプランが実現した。
(ナガノの家 2016年秋冬号 vol.6掲載)
道路に面する西側外観を見比べると、2階建てから平屋に減築したことがよく分かる。以前は切り妻屋根だったが、ガルバリウムの片流れ屋根とストライプのサイディングでモダンに一新。道路側には目隠しのため枕木で塀をしつらえた