長野市
小坂建設株式会社
小坂建設株式会社 (長野市)
安曇野市 / オープンハウス
安曇野市に広がる田園に、伝統構法でつくられた平屋が堂々と佇む。「構法」と表すのは、金物に頼らずに木組みだけで構成される架構形態を追求するという意味から。1000年以上受け継がれてきた〝伝統構法〟を得意とする「小坂建設株式会社」が計画に1年、工期に10カ月を費やし「安曇野の家」を完成させた。
伝統構法は地震の力に柔軟に対応する優れた耐震性を持つ。木の「しなり」や「粘り」、「復元力」を生かしてつくることで地震時の衝撃を和らげ、柱・梁が支え合い衝撃を分散。全てが構造上、「生きた材」となり住まいを守っている。「構造的に洗練された架構形態は構造美も持っているんです」と小坂建設の小坂社長。魅了される木組みの姿も暮らしに安心感を与えている。
今回小坂建設では初めて、土と藁(稲わら)からつくった土壁を採用。荒壁塗り、裏返し塗りなどで塗り重ねることで耐震、調湿、蓄熱、防火といった建材としての性能を高めた。自然素材なので空気も清浄。深呼吸をしたくなるほど心落ち着く空間をつくり出した。
日本古来からある建築技術と自然素材により紡がれてきた伝統構法の住まい。県産の素材を使った「安曇野の家」は、次の世代へと信州の自然の底力と人々の暮らし方を語り継いでいくのだろう。
大黒柱を中心としたLDK。「現場の外気温がマイナス9℃まで下がっても、バケツの水が凍らなかったんです」と小坂社長が話すように、蓄熱により断熱材がなくとも室内は暖かい